医療における許可や届出は多くありますが、LCC等の発展で世界中に人々が移動して久しい昨今、旅と医療と許認可の関係をシリーズで取り上げたいと思います。医療、ビザ、旅行業。多くの事業が重畳的に関わりあうお話です。
ブログをご覧いただきありがとうございます。心行政書士事務所の二藤です。
先日国会で「天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律」が成立しました。
▽内閣府:国民の祝日について https://www8.cao.go.jp/chosei/shukujitsu/gaiyou.html#sokui
ご承知の通り報道などでも多く取り上げられており、「10連休法案」という呼び名も多くみかけました。 法律の趣旨である、天皇のご即位に対して国民として祝意を表する為の祝日であることを胸に刻み、2019年のゴールデンウイークを迎えられたらと思います。
そして、この週末に通りかかった旅行代理店ではポップ等で「10連休」をPRをしていました。旅行会社のWebを検索すれば特集ページもたくさん出てきます。
「滅多にない長い休み。どこか遠くへ行きたい…」という想いも自然なものかもしれません。 一方、多くの人々が気軽に海外に行くようになり、「医療」と「旅(移動・渡航)」との関係で課題が生じてきました。
心行政書士事務所では医療をキーワードに許認可取得のお手伝いをしておりますが、医療と旅行が交わりあった当該分野でも許認可やそれに伴う法律の存在、他国との比較などは重要なポイントと考えています。
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そこで心行政書士事務所のブログではひとつのテーマとして、学術論文に基づいた医療×旅(移動・渡航・旅行)の関連性の調査と情報提供、許認可との関連について、「医療×旅の許認可学」と題し継続的にご紹介していきたいと思います。
1.分野と定義を調べてみる
まず、定義を簡単に調べてみました。
このテーマでは大きく2つの分野があることが示唆されています。
(1)渡航医学・旅行医学
ひとつ目は「渡航医学」「旅行医学」とされる視点です。
濱田氏は次のように示しています。
トラベルメディスンとは「国際間の移動に伴って発生する健康問題や病気を究明し予防する医学」と定義されており、その対象者は海外旅行者、海外勤務者(出張者、駐在員)、移住者、難民と幅広いものである。
引用)濱田篤郎:日本における渡航医学の現状と未来。東京医科大学雑誌69(3):312-320,2011
(2)医療ツーリズム・メディカルツーリズム
ふたつ目は、積極的な医療を受けようと希望する方が、国を超えて医療先進国へ訪れること。
これは「医療ツーリズム」「メディカルツーリズム」と称されています。
現状、明確な定義を論文からは見つけられませんでしたが、藤崎氏、森氏らは次の様に示しています。
皆保険制度のない米国で高額となる医療が,途上国の廉価な価格で受けられることから自然発生的に顕在化したものである。また,治療時に滞在する一流ホテル並みの宿 泊施設とサービスを兼ね備えているツアーが旅行代理店によって企画されていることも,市場形成において大きな役割を果たしている。
引用)藤崎健吉,森千里:医療・健康を資源とした新たな都市の価値創造~メディカルツーリズムからのアプローチ~。千葉医学雑誌85(6), 339-345, 2009
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2.まとめ
国際間の移動や居住に際して生じる健康問題に対応する「渡航医学」、自国外で医療と観光サービスを受ける「医療ツーリズム」という2つの視点があり、それぞれに特徴があることが見受けられました。
これらの分野では、医療機関、旅行業、ランドオペレーター、宿泊業、航空・陸上の運輸、ビザ(在留資格)…と、様々な許認可の名前も挙げることができます。
改めて、行政書士としての立場から申し上げると、医療×旅行(渡航)も許認可との関係性を踏まえてとらえる事ができると考えます。
そして、それぞれの許認可にはそれぞれに専門性があることも事実です。
実際に「渡航医学」や「医療ツーリズム」を行うとすれば、これらの許認可の専門性に対応することが一つのポイントになると考えます。
次稿以降、「渡航医学」と「医療ツーリズム」のそれぞれの視点を深めつつ、許認可も踏まえながらの分析を試みたいと思います。
注:文中、論文等の著者名に敬称を付しております。通常、論文を作成する場合に敬称を付することはありませんが、本稿はブログであり一般の方もご覧になることも考慮し、敬称を付しております。